
外壁塗装は「築何年で必要なのか」が多くの方の最大の悩み。塗装のタイミングを誤ると外壁材そのものが傷み、補修費用が大幅に膨らむ可能性があります。
この記事では、築年数別に外壁塗装の目安時期と塗料ごとの寿命をわかりやすく解説し、築年数から判断できるチェックポイントを整理しました。
これから外壁塗装を検討する方は、ぜひ参考にしてください。
なぜ築年数が外壁塗装の目安になるのか

外壁塗装を検討する際に多くの人が気になるのが「築年数」。外壁は常に雨風や紫外線にさらされ、年月が経つほど劣化が進みます。
そのため、築年数は外壁塗装を行うべき時期を判断する大きな基準となります。
塗料の耐久年数と築年数の関係
外壁塗装で使用される塗料には、それぞれ耐久年数があります。
たとえば、シリコン塗料であれば10〜15年、フッ素塗料であれば15〜20年が目安とされます。築年数と塗料の耐久年数を照らし合わせることで「そろそろ塗装を考えるべきかどうか」を判断できます。
- アクリル塗料:約5〜7年
- ウレタン塗料:約7〜10年
- シリコン塗料:約10〜15年
- フッ素塗料:約15〜20年
- 無機塗料:約20〜25年
築年数が進んでも適切なタイミングで外壁塗装を行えば、建物自体の寿命を延ばすことが可能です。
築年数によって劣化しやすい部位の違い
築年数が増えるにつれて、劣化の表れ方も変化します。
外壁全体だけでなく、部位ごとに注意すべきポイントがあります。
- 築5〜10年:外壁の色あせ、コーキングのひび割れ
- 築15〜20年:外壁材の浮きや剥がれ、チョーキング現象
- 築25〜30年:外壁材の破損、雨漏り、下地の劣化
- 築30年以上:構造部材の傷み、大規模修繕や建て替えの検討
このように築年数ごとに劣化の傾向が異なるため、外壁塗装を行う際には部位ごとの状態確認が重要です。
【築年数別】外壁塗装が必要となる目安時期

ここからは築年数ごとに外壁塗装が必要となるタイミングを詳しく解説します。目安を知ることで、無駄な出費を抑えつつ家を守ることができます。
築5〜10年|最初の塗装が必要になる時期
築5〜10年になると、新築時に使用された塗料の耐久性が落ち始めます。
特に安価な塗料が使われている場合、チョーキングや色あせが目立つことが増えます。この時期の外壁塗装は「初回のメンテナンス」として非常に重要です。
築15〜20年|補修と塗装の同時検討が増える時期
築15〜20年になると、外壁材自体の劣化が目立ち始めます。
塗装だけでなく、コーキングの打ち替えや軽微な外壁補修を同時に行うケースが多くなります。この時期に外壁塗装を怠ると、雨漏りのリスクが高まります。
築25〜30年|外壁材の交換や大規模修繕を考える時期
築25〜30年経過すると、塗装だけでは補えない劣化が発生することもあります。
外壁材の交換や下地の補修、大規模修繕を検討する必要が出てきます。費用も高額になるため、早めに計画を立てることが大切です。
築30年以上|塗装以外のリフォーム選択肢も視野に
築30年以上の住宅では、塗装だけでの維持が難しい場合があります。
外壁材や屋根材の全面リフォーム、あるいは建て替えを検討するケースも少なくありません。
ただし、状態によっては高耐久塗料を使用した外壁塗装で延命できる場合もあるため、専門業者に詳細な診断を依頼することが重要です。
塗料の寿命と築年数に応じた選び方

外壁塗装で使用する塗料は種類によって寿命が異なり、それに合わせて築年数ごとのメンテナンス計画も変わります。
築年数が進むと外壁材自体の劣化が進むため、選ぶ塗料次第で「どのくらい外壁を長持ちさせられるか」が決まります。
ここでは代表的な塗料ごとの寿命と特徴をわかりやすく解説します。
アクリル・ウレタン塗料の寿命と注意点
アクリル塗料はもっとも安価ですが、耐久性は5〜7年と短めです。
築年数が浅く「とりあえず最低限の塗装をしたい」という場合に使われることが多いものの、長期的には塗り替え回数が増えて費用がかさみやすい点が注意点。
- アクリル塗料:耐久年数 約5〜7年、低コスト、短期的な利用向け
- ウレタン塗料:耐久年数 約7〜10年、コスト中程度、メンテナンス頻度が高め
ウレタン塗料はアクリルより耐久性が高く7〜10年ほど持ちますが、近年はシリコンやフッ素塗料に比べるとコストパフォーマンスで劣るため、選ばれる機会は減っています。
シリコン塗料の寿命とバランスの良さ
シリコン塗料は耐久性とコストのバランスに優れ、10〜15年の寿命を期待できます。
築10〜20年ほどの住宅で選ばれることが多く、初めての外壁塗装や2回目のメンテナンスに適しています。耐候性が高いため、紫外線や雨に強い点もメリットです。
- 耐久年数:約10〜15年
- 価格と性能のバランスが良い
- 築10〜20年の外壁塗装におすすめ
フッ素・無機塗料の寿命と長期的メリット
フッ素塗料は15〜20年、無機塗料は20〜25年と非常に長持ちします。築20年以上の住宅や、将来的に塗り替えの回数を減らしたい人に向いています。
- フッ素塗料:耐久年数 約15〜20年、コストは高めだが長期維持に最適
- 無機塗料:耐久年数 約20〜25年、最高クラスの耐候性と耐久性
初期費用は高めですが、長期的に見るとトータルコストを抑えられるのが大きな魅力。また耐候性・耐久性が高いため、資産価値を保ちたい住宅にも有効です。
築年数別に見た外壁塗装の寿命比較表

ここでは築年数と塗料の種類を掛け合わせ、外壁塗装を行うべき時期を比較表にまとめました。これにより築年数ごとに最適な塗料選びとメンテナンス時期が直感的にわかります。
築年数×塗料種類の早見表
築年数 | アクリル | ウレタン | シリコン | フッ素 | 無機 |
---|---|---|---|---|---|
5〜10年 | 劣化が進行 再塗装推奨 | 再塗装検討の時期 | 耐久中 | まだ不要 | まだ不要 |
15〜20年 | 寿命を超過 補修必須 | 寿命を超過 塗装必須 | 寿命末期 塗装検討 | 耐久中 | 耐久中 |
25〜30年 | 外壁材自体の 交換検討 | 外壁補修と 同時施工推奨 | 寿命を超過 補修必須 | 寿命末期 塗装検討 | 寿命末期 塗装検討 |
30年以上 | 塗装不可 交換推奨 | 塗装不可 交換推奨 | 交換または 大規模修繕 | 塗装か大規模修繕 を選択 | 塗装か大規模修繕 を選択 |
実際の施工事例にみる耐用年数の違い
実際の施工現場でも、塗料ごとに耐用年数の違いがはっきりと現れます。
たとえば、
- 築10年でシリコン塗料をした住宅‥15年を過ぎても外壁が良好な状態を保っていた。
- 築20年でアクリル塗料をし続けた住宅‥外壁材にひび割れが多発し補修費用がかさむケースも。
このように築年数と塗料寿命の組み合わせは、外壁塗装の維持管理に大きな影響を与えます。
築年数を無視したときのリスク

外壁塗装は築年数に応じて行うことが重要。適切な時期を無視すると外壁材そのものの劣化が進行し、修繕費用が大幅に増えてしまうことがあります。
ここでは、築年数を考慮せずに外壁塗装を後回しにした場合に起こりやすいリスクを詳しく解説します。
外壁材のひび割れ・雨漏りのリスク
築年数が進むと、外壁材の表面塗膜が劣化し、防水機能が低下します。
その結果、外壁材に細かなひび割れが発生し、そこから雨水が浸入して雨漏りにつながるリスクがあります。雨漏りは屋内のカビ発生や構造材の腐食を招くため、放置すると住環境全体の安全性を損ないます。
- 小さなひび割れが雨水の侵入口になる
- 外壁塗装を怠ると防水機能が低下する
- 雨漏りによるカビやシロアリ被害の発生リスク
修繕費が数倍に膨らむケース
築年数に合わせて外壁塗装を行わない場合、劣化が進んで補修費用が膨らむことがあります。
外壁塗装だけで済むはずだったのに外壁材の交換や下地補修、大規模なリフォームが必要になると費用は数倍に跳ね上がります。適切なタイミングで外壁塗装を行えば、結果的にコストを抑えることが可能です。
築年数 | 外壁の状態 | 必要な修繕内容 | 想定費用 |
---|---|---|---|
10年 | 軽度の色あせ・チョーキング | 外壁塗装 | 約80〜120万円 |
20年 | ひび割れ・コーキング劣化 | 外壁塗装+部分補修 | 約120〜180万円 |
30年 | 外壁材の剥離・雨漏り | 外壁材交換+大規模修繕 | 約200〜300万円以上 |
築年数ごとの外壁塗装で失敗しないためのポイント

築年数を考慮しつつ外壁塗装を行うには、事前準備と判断基準が重要。ここでは失敗を防ぐために押さえておきたいポイントを整理しました。
業者選びでチェックすべきこと
築年数に合った外壁塗装を行うには、信頼できる業者選びが欠かせません。
施工実績が豊富で、劣化状況に応じた適切な提案をしてくれるかどうかを確認しましょう。また、保証内容やアフターサービスが充実しているかも大切なチェックポイントです。
- 施工実績と専門知識があるか
- 築年数に応じた提案ができるか
- 保証・アフターサービスの有無
見積もり比較の重要性
外壁塗装の費用は業者や使用する塗料によって大きく変わります。
築年数に応じた最適なプランを見極めるためには複数社から見積もりを取り、費用と施工内容を比較することが重要。単に安さで決めるのではなく、塗料の種類や施工範囲の違いを確認しましょう。
メンテナンス履歴の記録方法
外壁塗装の履歴を残しておくと、築年数ごとにどのようなメンテナンスを行ったかが一目でわかり、次回の塗装時期を判断しやすくなります。
日付・使用塗料・施工範囲・業者名をまとめておくと、後々の見積もりや業者選びに役立ちます。ノートやデジタル管理アプリを活用するのもおすすめです。
- 施工年月日を記録する
- 使用した塗料の種類を明記する
- 工事内容や業者名を残す
✅ こちらも参考までに。

まとめ
外壁塗装は「築年数」と深く関わっており、適切な時期を見極めることで家を長持ちさせ、修繕費用の高騰を防ぐことができます。
築5〜10年で最初の外壁塗装を行い、その後は塗料の寿命や外壁材の状態に合わせてメンテナンスを重ねることが理想的。また築25年以上の住宅では塗装だけでなく、外壁材や屋根材の交換を視野に入れる必要もあります。
さらに業者選びや見積もりの比較、そしてメンテナンス履歴を記録しておくことも外壁塗装を成功させるためには欠かせません。

適切なタイミングと方法で外壁塗装を行えば、住宅の寿命を大きく延ばし、住まいの快適さを守り続けることができます。