
外壁塗装は見た目を美しく保つだけでなく、住まいを守る大切なメンテナンス。そこで最近注目されているのが「自然素材を使った塗料」です。
化学物質を抑え、環境にも人にもやさしい特性を持つため、小さな子供やペットのいる家庭にも安心です。
本記事では、自然素材塗料の特徴やメリット、注意点まで分かりやすく解説します。
自然素材塗料とは?
外壁塗装で「自然素材の塗料」を選ぶ家庭が増えています。

自然素材塗料は、鉱物や植物由来の成分を中心に設計された塗料。住む人の健康や環境負荷に配慮しつつ、外壁塗装の基本性能(保護・耐候・意匠)を満たすことを目的としています。
ここでは、自然素材塗料の考え方と、外壁塗装で使われる従来の合成塗料との違いを整理します。
従来の合成塗料との違い

自然素材塗料は、外壁塗装に求められる「保護」「美観」「持続性」を、できるだけ自然素材に由来する成分で実現しようとするアプローチです。
一方、従来の合成塗料は石油化学由来の樹脂を使い、耐久性や防汚性を安定的に引き出すのが得意。
両者の特徴を比較表にまとめました。
比較項目 | 自然素材塗料 | 従来の合成塗料 |
---|---|---|
主成分 | 鉱物系(石灰・珪藻土・シリケート等) 植物系(植物油・天然ワックス等) | 合成樹脂 (アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素等) |
VOC/におい | 低VOCで刺激臭が少ない設計が多い | 製品によりVOC含有や においの差が大きい |
透湿・調湿性 | 高い(下地の湿気を逃がしやすい) | やや低い~中程度 (樹脂皮膜で水分移動は限定) |
質感・意匠 | 鉱物感・マットな風合い・奥行きのある表情 | 光沢~半艶など 幅広い仕上げが選べる |
耐候・耐久 | 配合や下地適合で差。 適切な設計なら長期使用も可能 | 製品グレードごとに 期待耐用の目安が明確 |
メンテナンス | 局所補修や重ね塗りで質感維持しやすい | 再塗装の際は下地処理と 塗膜適合の確認が重要 |
環境配慮 | 再生可能資源や鉱物由来の成分で 環境負荷を抑えやすい | 機能性は高いが、原料や廃棄で 配慮が必要な場合あり |
総合評価 | 健康・環境配慮と風合い重視の 外壁塗装に好適 | 機能・価格・耐久のバランスを 取りやすい |
- 自然素材塗料は、外壁塗装で透湿性や調湿性を活かしやすく、下地が呼吸しやすいのが特徴です。
- 合成塗料は、外壁塗装の耐候性や防汚性を安定的に確保しやすく、製品の選択肢が豊富です。
自然素材に含まれる成分(珪藻土、石灰、植物油など)

自然素材塗料の成分は、外壁塗装の仕上がりやメンテナンス性に直結。主な自然素材と期待できる性質を要点で整理します。
- 珪藻土
多孔質で調湿性が高く、マットで落ち着いた塗料の質感を演出。外壁塗装で室内側の結露リスク低減にも寄与。 - 石灰(消石灰・ライム)
強いアルカリ性により防藻・防カビ性を期待。時間とともに硬化が進み、鉱物的な風合いの塗料に。 - 水ガラス(カリウムシリケート等)
鉱物と化学的に結合しやすく、外壁塗装で下地との一体化を促す無機質系の塗料設計に活躍。 - 植物油(亜麻仁油など)
自然由来のバインダーとして塗料の伸びとしなやかさを付与。木部外壁塗装で保護と意匠を両立。 - 天然ワックス・樹脂
撥水や艶の調整に使用。自然素材の風合いを損なわず外壁塗装のメンテを容易に。
これらの自然素材は単独で使われるのではなく、目的に応じて配合されます。
外壁塗装では、下地(モルタル・サイディング・木部)に適合する自然素材塗料を選ぶことが、仕上がりと耐久の両立に不可欠です。
外壁塗装に自然素材を使うメリット

自然素材塗料を外壁塗装に採用する最大の魅力は、健康配慮と環境配慮、そして唯一無二の風合い。塗料のスペックだけでは測りにくい「住み心地」まで含めて長期的な価値を生みます。
健康面での安心(化学物質を抑制)
自然素材塗料は、設計段階から低VOCやホルムアルデヒド対策に配慮され、外壁塗装時の施工中のにおい負担を抑えやすいのが特長です。
小さな子どもやペット、高齢者がいる住まいでも、外壁塗装の際に室内への影響をできるだけ低減できます。
- 外壁塗装中の換気負担を軽減しやすい。
- 乾燥後の残留臭が少なく、日常生活へ復帰しやすい。
- アレルギー・敏感体質の家族にも配慮した塗料選択が可能。
また、鉱物・植物由来の塗料は、可塑剤や溶剤に依存しない配合が可能で、乾燥後の残留臭や刺激の少なさが評価されています。
環境への配慮(CO2削減・リサイクル性)
自然素材塗料は、再生可能資源や鉱物資源を活用し、ライフサイクル全体での環境負荷低減をめざします。
外壁塗装の再塗装時も、既存塗膜を全撤去せずに重ね塗りや局所補修で対応しやすい設計が多く、廃材の抑制やCO2削減につながります。
- 再塗装での廃材削減=輸送・処理に伴うCO2も低減。
- 長寿命化により外壁塗装の更新サイクルを最適化。
- 自然素材の塗料は、原料選定段階から環境配慮を実装しやすい。
さらに透湿性の高い塗料は下地の含水トラブルを減らし、外壁全体の延命に貢献するため、結果的に資源消費の抑制へ寄与します。
質感と風合いの良さ
自然素材塗料のもう一つの大きな魅力は、他では得難い質感です。
鉱物系の微細な粒子が光を乱反射し、外壁塗装の表面に深みのあるマット感と陰影を与えます。
- マットで上質な外観を実現しやすい外壁塗装。
- 微妙な色幅や骨材感で表情豊かな塗料仕上げ。
- 経年変化を味わいとして楽しめるデザイン性。
近くで見ても遠目で見ても奥行きが感じられ、時間の経過とともに外壁が街並みに溶け込むような自然な変化を楽しめます。
塗料の色合いも落ち着きがあり、和洋どちらのファサードにも馴染みます。
総じて、自然素材塗料は「家族の健康」「環境への思いやり」「唯一無二の風合い」を一度にかなえる外壁塗装の有力な選択肢です。
下地との適合や施工体制を確認しながら、住まいに最適な塗料を選びましょう。
自然素材塗料のデメリットと対策

自然素材塗料は健康や環境へのメリットが注目される一方で、外壁塗装に使用する際にはいくつかのデメリットも存在します。ただし施工方法やメンテナンスの工夫次第で、その弱点を十分にカバーできます。
ここでは代表的な課題と対策を解説します。
耐久性は合成塗料より劣る?
自然素材塗料は鉱物や植物由来の成分を中心にしているため、合成樹脂を多く含む従来の合成塗料と比べると耐久性がやや劣るケースがあります。
特に紫外線や酸性雨、凍結融解など厳しい外部環境では塗膜が劣化しやすい傾向があります。
ただし、以下の工夫で耐久性を高めることが可能です。
- 下地との相性の良い自然素材塗料を選ぶ。
- 施工時に適切な厚みを確保し、塗布回数を増やす。
- 外壁の方角や日射条件を考慮し、塗料の種類を使い分ける。
- 信頼できる施工業者を選び、塗装技術で補完する。
つまり自然素材塗料は、単純に「合成塗料より寿命が短い」と言い切れず、設計と施工の最適化によって十分な耐久性を得ることができます。
メンテナンスコストを抑える工夫
自然素材塗料は風合いの良さが魅力ですが、外壁塗装後に小さなひび割れや色褪せが出ることもあります。
これを放置するとメンテナンス頻度が増えてコストが上がりやすくなります。以下の工夫を取り入れることで、トータルの維持費を抑えることができます。
工夫のポイント | 具体的な内容 |
---|---|
部分補修を活用 | 全体再塗装ではなく、劣化箇所のみを補修することでコストを低減。 |
重ね塗り設計 | 下地を傷めずに上から塗り足せる自然素材塗料を選ぶと更新が容易。 |
定期点検 | 外壁の状態を早期に発見して補修すれば、大規模修繕を避けられる。 |
自然素材の組み合わせ | 耐久性を補うために水ガラス系や天然樹脂を加えた塗料を活用。 |
このように外壁塗装では「予防的メンテナンス」を意識すれば、自然素材塗料でも長期的にコストを抑えられます。
自然素材塗料に向いている住宅の特徴

外壁塗装における自然素材塗料はすべての住宅に適しているわけではありません。特にそのメリットが活かされやすいのは、素材や住まい方にこだわりのある住宅です。
ここでは代表的な例を紹介します。
木造住宅や自然派住宅
木造住宅は外壁材に自然素材が多く使われるため、自然素材塗料との相性が非常に良いです。
木部の呼吸性を妨げない透湿性の高い塗料を使用することで、木材の劣化を抑えながら美観を保てます。
- 木部の調湿性を活かしながら塗膜が呼吸する。
- 自然素材住宅のコンセプトと統一感が出やすい。
- メンテナンスも部分補修で対応可能。
また、自然派住宅では「自然素材の質感や風合い」を重視するため、石灰や珪藻土を用いた外壁塗装はデザイン性と調和します。
健康志向の家庭
自然素材塗料は、施工中や完成後の揮発性有機化合物(VOC)が少ないため、健康への負担を軽減します。
小さな子供や高齢者、ペットがいる家庭では、外壁塗装時のにおいや化学物質による影響を気にする方が多く、自然素材塗料は安心して導入できる選択肢です。
- 低VOC設計で施工時のにおいを抑制。
- 住まいの内外で安心して過ごせる環境づくりに貢献。
- 環境への配慮を重視するライフスタイルに合致。
また、アレルギーや化学物質過敏症に配慮したいご家庭にとってもメリットは大きいです。
このように、自然素材塗料は「素材との調和を大切にした住宅」や「家族の健康を優先する家庭」に特に適した外壁塗装の選択肢といえるでしょう。
自然素材塗料を選ぶ際の注意点

外壁塗装において自然素材の塗料を選ぶときは「見た目」だけでなく、成分・施工性・アフター対応を総合的に確認することが重要です。
ここでは、外壁塗装の耐久性や安全性に直結するチェックポイントを分かりやすく整理します。
認証マークや成分表示をチェック
最初に確認したいのは、塗料の成分表示と第三者認証の有無です。
外壁塗装で使う自然素材塗料は、「自然由来」「低VOC」と記載されていることが多いですが、具体的な成分表記や検査データを確認することで、より安心して選べます。
- 製品ラベルや技術資料で主成分(珪藻土、石灰、水ガラス、植物油など)を確認。
→ 外壁塗装に用いる塗料の主原料が具体的に示されているかをチェック。 - VOC(揮発性有機化合物)やホルムアルデヒドの含有量表示があるか確認。
→ 外壁塗装の際の施工中・施工後の安全性に関わります。 - 第三者認証(エコマーク、JISの無機系表示、国際規格など)が付いているか確認。
→ 自然素材をうたう塗料でも検査や基準が明確な製品が望ましい。 - 安全データシート(SDS)を要求。
→ 外壁塗装の現場での安全対策や取扱い上の注意点を把握できます。
下表は「確認すべき項目」と「確認理由」をまとめた簡潔なチェック表です。
(外壁塗装の現場で実際に参考になる内容を列挙しています)
確認項目 | 外壁塗装での確認ポイント |
---|---|
成分表示 | 珪藻土や石灰などの自然素材が主要成分か、合成樹脂の割合はどの程度かを確認。 |
VOC値 | 施工中のにおいや健康リスクを低減するため、数値が公表されているかをチェック。 |
第三者認証 | エコ関連の認証や品質規格がある塗料は信頼性が高い。 |
耐候試験データ | 外壁塗装後の耐候性、色あせや剥がれに関する試験結果を確認。 |
施工指示書 | 下地処理、塗布回数、乾燥工程など実作業の指示が明確かを確認。 |
以上を踏まえ、外壁塗装に使う自然素材塗料は「透明性のある表示」と「検査データ」がある製品を選ぶことが安全策です。
施工実績のある業者を選ぶ
塗料の品質だけでなく、外壁塗装の仕上がりと耐久性は施工業者の技術力に大きく依存します。
自然素材の塗料は下地の状態や施工方法によって性能差が出やすいため、施工実績と知見のある業者選びが不可欠です。
- 実績確認:過去の外壁塗装事例(自然素材塗料使用)を現場写真や顧客レビューで確認する。
- 下地診断能力:サイディング、モルタル、木部など各下地に適した施工手順を持っているかを確認する。
- 保証とアフター:工事保証や定期点検の有無。外壁塗装後の補修対応が明示されているか。
- 施工指示の遵守:塗料メーカーの施工指示を正確に守る業者であるか、見積書に工程が明記されているかを確認する。
業者選びの際は、外壁塗装に関する複数社からの見積を比較し、価格だけでなく施工計画と保証内容を重視してください。自然素材の塗料は、施工品質が結果に直結します。
✅ こちらも参考までに。

自然素材塗料で叶える理想の外壁デザイン

自然素材の魅力は、単に安全であることだけでなく、外壁に独特の「深み」と「時間の表情」を与える点にあります。
外壁塗装で自然素材を選ぶと、塗料が生み出すテクスチャや色合いが住宅の雰囲気を決定づけます。
ここでは和風・洋風それぞれの住宅スタイルに合う自然素材塗料の仕上げ例と、具体的なデザインの考え方を詳しく解説します。
ポイント
- 外壁塗装に使う塗料の素材感(珪藻土・石灰・ライムプラスター等)を意識して、建物の素材感と調和させる。
- 自然素材は透湿性や調湿性が高く、外壁の見た目だけでなく性能面でも住宅の寿命に寄与する。
- 色選びは無彩色〜淡彩色を基調に、部分的にアクセント色を入れると上品にまとまる。
和風住宅にマッチする珪藻土仕上げ

和風住宅には、珪藻土を中心にした外壁塗装がよく合います。珪藻土の微細な粒子は光の乱反射を生み、マットで落ち着いた表情を表現します。
外壁塗装の塗料として珪藻土を採用すると、伝統的な和の佇まいを損なわずに現代的な耐候性を確保することが可能です。
珪藻土仕上げの特徴
- 質感:柔らかなマット感で陰影が出やすく、和瓦や木部と自然に馴染む。
- 機能:調湿性があり、外壁内部の湿気調整に寄与するため木造住宅と相性が良い。
- 色調:ベージュ・灰色・薄土色など、落ち着いた色味が相性抜群。
施工上の注意点(外壁塗装で珪藻土塗料を使う場合)
- 下地の平滑化と下地処理を丁寧に行い、珪藻土塗料の吸い込みムラを防ぐ。
- 乾燥環境を確保し、寒冷期や多湿期は施工タイミングを調整する。
- 表面の微細な割れや欠損は早めに補修し、景観と機能を維持する。
和風住宅に珪藻土を用いた外壁塗装を施すことで、住宅全体が落ち着いた佇まいとなり、塗料の素材感が建築のディテールを引き立てます。
洋風住宅に映えるライムプラスター

洋風住宅や地中海風、プロヴァンス風の外観には、ライムプラスター(石灰系プラスター)を使った外壁塗装がよく映えます。
ライムプラスターは石灰のやわらかい白さと経年変化による風合いが特徴で、時間とともに深みを増す塗料素材です。
ライムプラスターの魅力
- 色と質感:淡い白〜クリーム系の色合いで、やさしい陰影とクラフト感を演出。
- 耐候性:アルカリ性が高く、藻やカビの発生を抑える特性があるため外壁塗装に有利。
- 仕上げの幅:荒仕上げ〜滑らか仕上げまでテクスチャ調整が可能で、洋風のデザインを多彩に表現できる。
実際の外壁塗装デザイン例
デザイン要素 | ライムプラスターの表現 |
---|---|
色合い | 乳白色、クリーム、パステル調の淡色で優しい印象を強調。 |
テクスチャ | わずかな凹凸(ラフ仕上げ)で陰影を作り、手仕事感のある外壁塗装に。 |
アクセント | 窓周りや軒先に濃色を配して建物輪郭を引き締める。 |
ライムプラスターを外壁塗装に使う際は、塗料の配合や下地との相性を確認し、必要に応じて無機系バインダーや下塗り材を組み合わせることで耐久性を確保します。
まとめ
外壁塗装における自然素材塗料の選択は、見た目の美しさだけでなく住宅の機能性や健康性にも直結します。
和風住宅には珪藻土、洋風住宅にはライムプラスターがそれぞれの美学を引き立て、塗料が生み出す「質感」は街並みとの調和にも寄与します。
選ぶ際のポイント
- 建物のスタイルに合わせて塗料の素材感を選ぶ(珪藻土・ライムプラスター等)。
- 外壁塗装の下地処理と施工品質を重視し、塗料の特性を最大限活かす。
- 定期的な点検と部分補修で、自然素材塗料の魅力を長く維持する。
外壁塗装に自然素材塗料を取り入れることで、住まいはより健康的で環境にやさしい空間へと変わります。
メリットとデメリットを理解し、信頼できる施工業者を選ぶことで、自然素材の持つ魅力を最大限に活かせるでしょう!